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2005年に更新終了しました。今は全然別のことをしていますが、美術史専攻の米国大学生でした。おもに、メインサイト・スティルライフ読者でmixi非参加の方のため、mixiに書いてる日記を一部転載していました。


by stilllife1982
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リリー・フランキー『東京タワー』を読んだよ(2)(一回改訂)

まあ、とりあえず、
オカンに電話をかけましたとも。
用事がないとき以外に電話なんてかけないから、やっぱりびっくりしていて、
「元気?」と聞くと、
「どうしたの!Eがママに『元気?』なんて電話かけてくる時は、Eが元気じゃないんじゃないの?!大丈夫?何かあったの?」と、逆に心配された。
うちのオカンもリリーさんとこと一緒でやっぱり子供の心配を先にするわけだ(笑)元気だよ、と言いはっても、「いきなり電話かけてくるなんて?!」とかなり疑われた。

「いやあ、たまには用事なしに元気って電話してきてもいいかなと思って。」というと、
「あーらーやさしいわねー!うちにもこんなやさしい娘がいたのねー!!もー最近A子(長女)なんてママにヒドイのよ。うちに帰って来てもすぐ部屋のドア閉めて口もきかないで!」
(↑姉ちゃん!反抗期じゃないんだから....)

「M(元々わたしの友達なのに最近は家族のほうがなかいい)と二人でカラオケに行っちゃったりしてさあ、ママを入れてくれないんだから!」

「・・・ママだってねえ、夜一人でさびしくて泣きたくなることとかあんのよ・・でもねえ全部自業自得だと思ってるの、仕事ばっかりで母親らしいことちゃんとしてこなかったし...」
と自分反省会が始まったので、

「イヤイヤイヤイヤ!ママはほんとうによくやってくれましたよ。Aちゃんには『ママも入れなさい』って言っとくよ」
「ほんとうに優しい子はEだけよーまったく!」
(↑さいきん姉彼のことを巡って姉と母は修羅場らしい、笑)

「(体弱いので)長生きしろとは欲張りませんが、孫の顔見るまでもうちょっと頑張ってください。それだけはしてあげたいんで。」と言う。

「いやさー、母子家庭の話で、とても泣ける本を読んでね。やっぱりママやらパパやら家族のこと思い出して、いろいろ感じ入ったわけですよ」
「あらーそういうのでママのこと思い出してくれるのねー。うれしいわあ」、何度も何度も「うれしい」と言い、「ウハウハしていた」と言っても過言じゃないくらい喜んでいた。

世間的には泣く子も黙る強面ベテラン働きマンなのに、お母さんが隠してる弱さってほんと自分と似すぎてて手にとるように分かってしまう。

うちの現在の家族は、子持ち再婚同士の二人によって、10年前に5人編成になり、途中からパパは主夫になったので、家長はずっとオカンなのだ。世間の風当たり厳しい中、ほんとうはとても傷つきやすい臆病な人なのに、家族を守りたいという気合いだけで生きてきている。

子供の頃、お姉ちゃんと一緒の寝室があったのだが、お母さん離れがなかなか出来なくて、結局夜になると母の布団に忍び込んだ。とくに幽霊とか妖怪がこわくなった時とか(笑)、お母さんなら生霊になってでも自分の事を守ってくれる気がして安心出来た。

責めてるのではないけど、自分の幼いときからの夜更かし癖も、頑張って夜起きていたら、お母さんに会えるということに端を発しているのだろう。煙草の匂いになんとなくホッとするのも、それはお母さんが会社から帰って来たときの匂いで、化粧の匂いが苦手なのも、お母さんが口紅以外しないからだと思う。

部屋に入ると、どんなに疲れてぐったり寝込んでいるように見えても、どんなに物音をたてないようにしても、数メートル前から気付かれて、彼女は絶対起きてしまう。
でも時が経つにつれ、だんだんだんだんお母さんの寝覚めは悪くなっていって、今は一度寝付いたら、よほど眠りが浅くないかぎり、絶対起きない。そういう所に、やっぱり年老いたのだなあと思う。

「大きくて、柔らかくて、あたたかだったものが、ちっちゃくて、かさついて、ひんやり映る時がくる。それは、母親が老いたからでも、子供が成長したからでもない。きっとそれは、子供のために愛情を吐き出し続けて、風船のようにしぼんでしまった女の人の姿なのだ。」

「オトンの人生は大きく見えるけど、オカンの人生は十八のボクから見ても、小さく見えてしまう。それは、ボクに自分の人生を切り分けてくれたからなのだ。」

そういうことや、さらに親戚のこと、珍しいというほどのことでもないが、それなりの事情があり、重なり合わない気持ちがあり、愛情があり、つまりはしちめんどくさい。
オカンは本当に苦労をしてきた人だ。ほかの家族も。そんなアレコレを思い出して、『東京タワー』、心震えずにはいられんのです。

(オトン編につづく)
by stilllife1982 | 2005-09-01 09:06 | リリー・フランキー